羅生門の作りに感心
さすが黒澤明監督なだけあって映像の作りはしっかりしていて
最後まで見入ってしまった。
原作は芥川龍之介の『藪の中』であって
『羅生門』からはコンセプトと設定を拝借していて、
一つの事件を複数の主観から描き上げていた。
しかしどの主観のお話も嘘偽りの虚構に過ぎず、
それは事件とは直接的には無関係だった目撃者の杣売りや、
既に死人と成り果てた武士とも例外ではなく、
それぞれの証人はエゴのまま虚勢を張っていた。
最後の最後で「人を信じられなくなったらこの世は地獄だ」
というセリフのあとから自身を省みて
赤ん坊を世話することを決意する杣売りの姿が描かれており、
希望に満ち溢れているお話だったので、
一番印象に残って最終的には好感が持てた。